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お客様と話していて、「セニング鋏の抜けを良く仕上げて欲しい」や「抜けの良いセニングが欲しい」等と言われる事が良くあります。ここでは正しいセニングシザーズの抜き方と抜けの良いセニングシザーズとはどのようなものかについてご説明いたします。

セニング鋏を抜く時のコツ

通常のセニングシザーズは棒刃の方に鋭い刃がついていて、クシ刃で受け止めた毛を切断する構造になっています。ハサミを閉じた状態で抜こうとしたとき、棒刃の向きによっては髪の毛の表皮を剥がしてしまうことになりかねません。

下の図のように棒刃が髪の毛に食い込まない方向に動かしていただければ、引っ掛かりは一切発生しません。

セニングの抜き方のコツ


セニングは縦方向へは抜けにくくなります

セニングを閉じたまま抜く際に最も抜けやすいのは髪の毛に対して直角に鋏を抜く場合です。鋏が縦になるほど抜けが悪くなる傾向にあります。コーミングする際は髪の毛に直角にコームを入れますよね。斜めにコームを入れると通りが悪くなるのと同じことが鋏でも言えるわけです。

正面
正面

クシ刃の間隔が最も広く、髪の毛がストレス無く通ることができます

傾き20°
傾き20°

すこし傾けるだけで、クシ刃の隙間が狭くなっているのが分かります

傾き40°
傾き40°

クシ刃の間からはほとんど向こうが見えず、毛がスムーズに通らない


抜けの良いセニングシザーズとは

セニング鋏の抜けの良し悪しを決める要素として、くし刃と棒刃の隙間が重要となってきます。隙間部分が大きければカット後に残った毛が、余裕を持って通ることが出来るために、結果として抜けがよくなります。

逆にセニングシザーズ自体が細く、隙間も小さい場合や、多量の毛を切った場合などは、隙間に入った毛が容量を超えてしまい、棒刃で挟んでしまう状態になる為抜けが悪くなります。またくし刃のエッジに角が立っている(仕上げが荒い)場合なども、抜く時に抵抗を感じるようになります。

くし刃の隙間